卒業生たちの座談会

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IKEN × スポーツトレーナー

選手だけじゃない。
スポーツ業界には多くの立役者がいる。

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スポーツ業界でそれぞれの資格を活かし、選手をサポートするトレーナーの仕事。

卒業生たちの座談会

スポーツ業界でそれぞれの資格を活かし、
選手をサポートするトレーナーの仕事。

平岡先生

本日はスポーツ業界の第一線で活躍する医健の卒業生の皆さんにお集まりいただきました。「それぞれの資格を活かしてスポーツ業界で働くこと」をテーマに、現在、トレーナーとして各方面でどのような仕事や活動をしているのか、伺っていきたいと思います。

藤本

京都医健のスポーツ科学科に入学し、(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA 認定パーソナルトレーナーの資格を取得しました。現在は、大学ラグビー部や高校ハンドボール部でのトレーナー活動やフィギュアスケート、ダンサーの方もサポートしています。また個人契約のパーソナルトレーナーとして月に数十件依頼があり、名古屋医健で講師としても後輩育成に携わっています。

中野渡

仙台医健で柔道整復師の国家資格を取得して宮城県の接骨院に就職し、その接骨院と専属契約をしていたフットサルチームのサポートを行っていました。今は、地元の青森でJFL(日本フットボールリーグ)のサッカーチーム「ラインメール青森FC」でトレーナーをしています。

藤川

京都医健で鍼灸師の国家資格を取得しました。joyplus.川西鍼灸整骨院に勤めつつ、鍼灸を活用して、女子サッカーチーム「バニーズ京都SC」でトレーナー活動を行なっています。

京都医健の理学療法科夜間部を卒業後、地元の富山に戻り、整形外科に勤めています。休日を利用して、母校の中学校でサッカー部のトレーナーもしています。

藤本さん

羽田先生

皆さん、それぞれの関わり方で多岐にわたる活躍をされていますね!
そもそもトレーナーを目指したきっかけ、スポーツ業界に興味を持ったきっかけは、何だったんでしょうか?

南さん

高校時代にスポーツでケガをし、右脚の膝を手術しました。ケガから手術を経てリハビリ、そして復帰するまでに相当な時間がかかりました。自分のこの経験を活かして、少しでもケガに苦しむ方を減らしたい、なくしたいという想いで、将来はスポーツに関わりたいと考えるようになりました。また、父が柔道整復師、母が看護師という医療が身近な家庭環境だったこともあり、人を支える、サポートする場面には人よりも敏感で関心が強かったように思います。そんな中で理学療法士という仕事を知り、国家資格を得て、選手をサポートする職に就こうと決意しました。

藤本

高校時代の経験って、将来に影響することが大きいのかもしれませんね。私も南さんと同じく、ケガの経験がきっかけでした。野球で肩や腰、肘などのケガを繰り返していました。そこでトレーナーの方からサポートを受け、競技に復帰することができました。この経験が、今のトレーナーの道につながっています。
ただ最初からアスレティックトレーナーを目指したわけではなく、スポーツ科学科のスポーツトレーナーコースに入学し、授業や現場実習を通して『チームについてトレーナー活動をしたい』と考えるようになり、平岡先生とも相談し、アスレティックトレーナーの仕事を目指しました。

平岡先生

そうですね。藤本さんのように、トレーナーの中でもどういう仕事をしたいか、自分がやりたいことが何なのか、入学前にはわからないことが多くあります。スポーツをしていても知らない仕事も多くあると思います。それを1年生のうちに現場実習を通じて体験し、それぞれが自分の理想のトレーナー像を見つけられるよう支援しています。

藤川

私の場合は、鍼灸科に所属しながら、スポーツ科学科の先生からテーピングなどのスポーツに関する知識や技術を直接指導いただきました。鍼灸科の先生の後押しもあって、実業団ラグビーチームのトレーナー現場で実習まで参加することができ、学校としてトレーナーになる夢を積極的にサポートしていただきました。鍼灸師という国家資格からのアプローチでトレーナーを目指すことにしたのは、高校の恩師がアドバイスをくださったおかげです。多くの方の支えがあって、今の自分があるので、とても感謝しています。

中野渡

私も今につながるきっかけをいただき、先生にはとても感謝しています。柔道整復科 柔整スポーツコースに在籍していたのですが、スポ―ツ系の授業を担当されていた先生が「ケガの治療をするよりも、ケガをさせない予防できる身体にする」という言葉が、特に印象深く心に残っています。在籍しているチームでその考えを監督に伝えたところ、新たなメニューを取り入れることができ、チーム内でケガの数が減り、パフォーマンスが向上する結果につながっています。

医健での経験が将来の仕事へつながる。
実体験を通して、次にどうつなげるかが大切。

羽田先生

スポーツ業界や医療の現場では、知識や経験をどう活かすことができるかが大切です。学校で学んでいるうちから現場に出て、一歩踏み出す力やチームの中で協働する力、信頼を得る力、そういったスポーツ業界の考え方を身に付けることが重要だと思います。皆さんは社会に出て、現場で活躍されていますが、今のご自身に活きている在学中の経験はありますか?

藤本

やはり現場実習ですね。学校の中で学ぶことを実際に活かせるのは現場実習しかないと思います。“何もできなかった”という不甲斐なさや、“これができた”という成功体験を通して、何をさらに学ぶべきか、気付くことができます。
在学中、高校のハンドボール部の実習で、肩を脱臼した選手の競技復帰に1年間寄り添う経験をすることができました。大会に向けた復帰スケジュールやトレーニングメニューを一緒に考え、授業でもトレーニングについて学んでいたため、現場と学びを相互に試行錯誤しながら、トレーナーとして選手と足並みを揃える大切さを、身をもって感じることができました。

藤川

私も実習の現場で印象に残っていることがあります。ラグビーの試合中に目の前で選手の脱臼が発生しました。自分が救急車の手配や一時的な処置などを行なわないといけない状況に、混乱して何もできなかったことがあります。
その経験のおかげで今後のために備えようという考えになり、現場の緊張感とサポートする側としての備えの重要性を同時に学ぶことができました。

中野渡

一流のプロトレーナーの方の講義が聞けたということが、とても貴重な体験でしたね。特別講義や他学科と連携したゼミで、現役のトレーナーである講師の方々から、授業ではなかなか聞くことのできないスポーツ業界の実情や、プロの厳しさなどを学生の時に知ることができ、今も大いに役立っています。

選手や患者様と深く関わるからこそ、
トレーナーならではの喜びがある。

学生や教職員の方がトレーニングをできるトレーニングルームが医健にはあり、学科を超えた交流の場になっています。そこでスポーツ科学科の平岡先生からトレーニング指導を受けたり、他学科の学生と情報交換していた経験や、コミュニケーションの取り方が、今の現場へもつながっています。

平岡先生

そういった現場実習や特別講義、高校時代の経験などが今の職場や仕事の原点になっているということですね。トレーナーとして多くの方と関わる機会も多いと思います。その関わりの中で、手応えや励みになるようなことはありますか?

中野渡

チームの専属トレーナーとして選手たちと毎日接しています。監督とも積極的にコミュニケーションを取り、若い選手に対して独自メニューを提案し、トレーニングを行うようにしてきたのですが、その選手たちが夏の遠征に呼ばれたり、試合に出る機会をもらったりしていると、大きな手応えを感じますね。
監督からは「去年よりケガを負う選手が減り、フィジカルが強くなっていることで、目指すサッカーができている」と言っていただきました。トレーナー冥利に尽きる言葉です。毎日サッカーを中心にしたトレーナー活動ができて、仕事に充実感があります。

藤川

女性のトレーナーであることに加えて、鍼灸のアプローチもできることで幅が広がっていることを実感しています。
同じ業界にいる方との横のつながりを大切にしていると、トレーナー以外でも美容鍼灸の依頼や鍼治療の相談などを受ける機会にも巡り合えています。これまで3年間、トレーナーであり、鍼灸師であることで積み重ねてきた経験が自信につながっています。さらに経験を重ねて今まで以上の活動ができると思うと、これからが楽しみでワクワクしています。

藤本

卒業後、すぐにチームでトレーナー活動に従事することができました。このチームでは、アスレティックトレーナー資格を持っていることが条件でしたので、チームにおける資格への理解、そして、そのチームで働く上でこの資格の優位性は大きかったと言えます。
今はパーソナルトレーニングも行っており、エクササイズやアスレティックリハビリテーションを通じて、痛みの原因を解明し、改善トレーニングの指導をしています。その方に適した身体の状態へ近づけることを個別にアプローチできるのは、大きな武器だと思います。

藤川さん

運動療法を通じた改善は結果に現れると手応えを感じます。ペタンクという競技をされている方が数年来、膝を痛めて病院を転々としておられ、辿り着いたのが自分の勤める病院でした。院長も含め3人で話をして、リハビリに取り組むことになり、運動療法で改善していきました。その結果、大会で1位になったという報告を聞いた時は患者様と手を取り合って喜び合いました。

羽田先生

素敵なエピソードですね。スポーツの現場における医療資格を持つ人の強みは、起こった事象に対し、医療的な観点で運動プログラムを作ることができるという点です。一方で、病院の中で治療をするので、患者様との関係性が既にできていることが多いのですが、スポーツの現場ではフィールドで突発的なケガが起こりやすく、急な対応を求められるケースも多いと思います。そのような場合でも動じない“タフさ”が、メンタル・フィジカルの両面で求められると思います。選手がケガを負ってメンタルまで落ち込むかもしれない時に、トレーナーまで元気をなくして接していると、相手はさらに元気を失うことになりかねません。
学ぶべきことはタフさです。学校にいるうちに現場実習で十分に学んでもらいたいと思います。

平岡先生

その通りですね。多くの場合、脚光を浴びるのは選手や監督かもしれませんし、トレーナーは縁の下の力持ちに徹することになります。選手のためにどれだけ動ける“行動力”を持っているか、チームのためにどれだけ尽くせる“気概”があるか。チームにおける人間関係の構築力やコミュニケーション力なども現場では必要となりますので、スポーツの現場実習で学ぶことは本当にたくさんあると言えます。

スポーツと医療の良い関係が選手のパフォーマンスを上げる

羽田先生

皆さんは資格を有効に使って、様々な場で治療やリハビリなどの活動を行なっておられますね。アスレティックトレーナーや理学療法士、柔道整復師、鍼灸師は、病院や治療院などで仕事をする機会が多くありますが、南さんの勤めるクリニックではスポーツの外来が多いのでしょうか?

中野渡さん

いえ、スポーツをしている人に限らず、年配の患者様も多くいらっしゃいます。なかには、治療はもちろん、精神的なケアに近いことを求めてクリニックへ来られる患者様もおられるので、理学療法士としての治療や指導だけでなく、地域の方との関わる中で笑顔を見れたり、「ありがとう」と言われることも多く、やりがいを感じます。スポーツと医療の両側面で、地域活動できていることはうれしいです。

中野渡

スポーツと医療の関わりは、僕たちトレーナーや医療従事者にとっては切り離すことのできない関係ですね。

藤本

私がヘッドトレーナーで入っている施設では、柔道整復師の先生がケガの治療を1階の整骨院で行い、2階ではリハビリ・競技復帰を目指すサポートをトレーナーが行っています。ここには、スポーツと医療のつながりが、受ける側のメリット、付加価値としてあると思っています。患者様や選手はケガの治療から復帰まで、柔道整復師・アスレティックトレーナー・パーソナルトレーナーのサポートを受けることができますし、状態や経過、今後の目標などを把握するスポーツと医療の連携は、非常に大切だと思います。今後ますます、こういったスポーツと医療の連携する施設が増えることを願っています。

平岡先生

その連携は大切ですね。スポーツの現場では色んな事が起こります。もしケガをしてしまったら病院へ行き、そしてリハビリを受ける。けれども、スポーツの現場でトレーナーにとって最も重要なことは、ケガが起こらないようにすることです。競技力を高めることもトレーナーの役目ですが、その過程では負荷が掛かりますので、ケガにより戦線を離脱するようなことがないように、予防するということが現場にいるトレーナーのできることだと思います。
活躍する皆さんには現場で活動する中で、改めて取り組んでいただければと思います。

スポーツ業界で活躍し続ける4人の医健卒業生たちのこれから

羽田先生

皆さんはスポーツ業界で既にさまざまな活躍をされていますが、今後の目標を教えてください。

藤本

名古屋でトレーニング&コンディショニングスタジオを開設する予定です。トレーニングをもっと身近に、ライフワークの一部として運動を取り入れる人を増やしていきたいと思います。そして、名古屋を健康な都市No.1へと導き、「日本を元気に!」をトレーナーの目線、立場で実行していきたいと思っています。

藤川

地元の兵庫に父が運営していた小学生・中学生向けのサッカークラブがあり、そのクラブハウスでサロンを開きたいと思っています。バニーズ京都SCでやっている鍼灸治療やトレーニングに留まらず、成長期に起こりがちなケガや傷害、メンタルに関することまでサポートし、地域の方が安心して頼れるサロンにできることを目指しています。

中野渡

私とチームの目標は、Jリーグに昇格することです。そのために自分ができることは、よりチームに適したトレーナーになることだと思っています。今は柔道整復師として治療のできるトレーナーですが、アスレティックトレーナーの資格を取得し、ケガの予防をこれまで以上に管理できるようになりたいと考えています。

今、病院でゼロから進めている運動器検診のための運動療法を確立していくことが目標です。病院においても、中学校のサッカー部においても、地域で必要とされ声を掛けてもらえる、頼りになる人間でありたいと思います。

羽田先生

皆さんのこれからの活躍が医健としても、大変楽しみです。本日は皆さん、お仕事の合間を縫ってお越しいただき、ありがとうございました。

羽田先生

座談会メンバー紹介

  • ラインメール青森FC(JFL)トレーナー・柔道整復師 中野渡 裕人 さん

    ラインメール青森FC(JFL)トレーナー
    柔道整復師

    中野渡 裕人 さん

    青森県立三沢高等学校 出身
    2014年 仙台医健専門学校(当時) 卒業

  • バニーズ京都SC(女子サッカー)トレーナー・joyplus.川西鍼灸整骨院 勤務・はり師・きゅう師 藤川 里穂 さん

    バニーズ京都SC(女子サッカー)トレーナー
    joyplus.川西鍼灸整骨院 勤務
    はり師・きゅう師

    藤川 里穂 さん

    兵庫県 日ノ本学園高等学校 出身
    2016年 京都医健専門学校 卒業

  • フリーランスのトレーナーとして多方面で活動・(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー・NSCA認定パーソナルトレーナー 藤本 洋平 さん

    フリーランスのトレーナーとして多方面で活動
    (公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
    NSCA認定パーソナルトレーナー

    藤本 洋平 さん

    京都府立鳥羽高等学校 出身
    2013年 京都医健専門学校 卒業

  • なす整形外科クリニック 勤務・理学療法士 南 智之 さん

    なす整形外科クリニック 勤務
    理学療法士

    南 智之 さん

    富山県 富山国際大学附属高等学校 出身
    2016年 京都医健専門学校 卒業

  • 羽田 智大 先生

    羽田 智大 先生

    仙台医健・スポーツ専門学校 教務部長
    理学療法科教員
    理学療法士

  • 平岡 義光 先生

    平岡 義光 先生

    京都医健専門学校 スポーツ科学科 スポーツトレーナーコース教員
    (公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

2018年10月時点の取材内容にて掲載